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高森明勅
2021.3.19 06:00皇統問題

皇位継承、2つのシナリオ

以前、「皇位の安定継承、4つのシナリオ」という
ブログを書いた(1月16日)。

その時に皇位の安定継承への取り組みを巡って
想定したシナリオは以下の通り。

①皇位の安定継承に向けて、女性・女系皇族の即位を可能にし、
それが実際に機能できるようにする為に、女性宮家を創設する。

②皇位の安定継承への取り組みを先延ばしして、
皇族数を目先だけ確保する為に
“一代限り”の女性宮家を認める。
万一のケースに備えて、男系女性皇族の即位も
可能にする。

③皇族数の確保も諦(あきら)めて、ただご公務を
分担する特別職の
国家公務員(批判された「皇女」の看板
だけは取り換える)を設けて、
未婚の女性皇族が
ご結婚の後、国民の仲間入りをされた時点で就いて戴く。


④「まだ40年ある」(安倍晋三前首相)ので、
いずれ「神風が吹く」(同)
のを信じて(?)、
ひたすら先延ばしを続ける。

しかし、わざわざ有識者会議を設置するのであれば、
④は無くなる(はず!)。
③も、(同じ看板の“皇女プラン”のまま)
「議題となる見通し」との
報道があるものの、昨年の経緯を
振り返ると、現実的な選択肢としては
除外されると
考えるのが自然だろう。


となると、残る選択肢は①と②だけ。

普通に考えると①が正解で、政府もそのことはとっくに
分かっているだろう。

だが、一部の男系維持派が無理な旧宮家案を強硬に
求めて来ることが、
当然、予想できる。
その時に、政府・国会がきちんと筋を通せなくなった場合、
唯一の解決策の①と元々無理筋の旧宮家案を“足して
二で割る”式に、
②のシナリオに逃げ込む恐れがある
(②でも“一代限り”の女性宮家だけ、という場合も)。

皇統問題の決着は、詰まるところ①と②のどちらを選ぶか、
が問われるのではあるまいか。

しかし、②は決着ではなく、実態は“先延ばし”でしかない。

しかも、内親王方がめでたくご結婚をされ、宮家を立てて
お子様に
恵まれられても、そのお子様は男女の性別に関わりなく、
宮家のご当主が「女性だから」という“だけ”の理由で、
はじめから皇位継承資格を持ち得ないというルールは、
極めて屈辱的であり、人格の尊厳を損なう制度と
言わざるを得ないだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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